開館20周年となる本年、前期展示では「素顔の薮内正幸」と題し、プライベートで描かれた作品だけを集めました。画描きではなく、画を描くことと何よりも動物が大好きだった一人の人物を取り上げた形でしたので、後期展示は動物画家としての薮内正幸をご紹介いたします。
「世界一詳しい哺乳類図鑑」の挿絵画家として福音館書店に入社した薮内でしたが、数冊分の挿絵を描いたところで図鑑の出版は見送られることとなります(後に別の出版社より限定出版)。その代わりに「しっぽのはたらき」(「かがくのとも」創刊号)など絵本を手掛けるようになると他社からも動物画の依頼が増え、福音館書店の社員でありながら帰宅後は他社からの依頼の画を描くようになります。
この度の展示では福音館書店を退職するまでの間、会社員でありながら動物画家としても活動をはじめた、1971年までの作品を揃えました。言ってみれば動物画家として駆け出しの頃の、初期の作品展となっています。
みなさまのおかげで20周年を迎えることができた当館ですが、これからもどうかご支援ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
展示室の一角に、かねてよりご要望の多かった書斎の再現をいたしました。もちろん机などは当時本人が使用していたものです。ここから多くの動物や野鳥たちが産み出されました。
企画展の作品と合わせてお楽しみください。